今年も残すところわずかとなりました。
年末・年始の連休は業種によっていろいろだとは思いますが、今年は6~7日程度のところが多いのではないでしょうか。休暇の取り方によっては10連休以上という人もいると思います。
海外関係の仕事をしていると、各国の祝祭日を睨みながらスケジュールを立てる必要に迫られます。アメリカではクリスマス前はビジネスがあまり機能しなくなりますが、その後日本は年末・年始となるため、日米でプロジェクトをやっているとかなり長い期間空白になってしまうのが一般的です。
アメリカ人からはよく「日本は祝祭日が多い」と言われます。確かにアメリカと比べると日本の祝祭日はかなり多いです。下表は各国の年間の祝祭日と有給休暇の日数をまとめたものです。
日本の祝祭日は17日と主要国の中では断トツです。一方有給休暇を見ると、付与日数が多く消化率も高いフランス等のヨーロッパの国に比べて、やはり日本はかなり少ないのがわかります。有給休暇を取得するのが少ない分を祝祭日で補って、両方を合わせた休暇日数合計で日本はようやく真ん中ぐらいといった状況です。但し、祝祭日や有休休暇以外にも年末・年始やお盆を休業する会社が多いですから、日本のビジネスマンも、実際はもっと休みを取っているとも言えます。
意外と有給休暇が取られていないのがアメリカです。アメリカでは有給の傷病休暇(Sick Leave)が通常の有給休暇以外にも付与されるのが一般的ですので、実際はもう少し休みは取っているとは思います。日本のように、風邪をひいても這ってでも仕事に行くということはまずないですから、アメリカではこの病欠が多いのも確かです。また「病気」と称してこの休みを有給休暇替わりに取る人も中にはいます。
とは言え、私の感覚では、アメリカ人は意外と休みを取らない人が多いように思います。もちろん個人差はありますし、職種によっても違いますが、日本人がステレオタイプ的にイメージする「5時になったらさっさと帰って、休みも目一杯取るアメリカ人」という人ばかりではないです。子供を迎えに行ったり家族と食事をするためということもあり、定時に帰る人は確かに多いですが、通勤電車の中で仕事をしたり夕食の後に自宅で仕事をしたりしている人も多いです。
残業代が付かないエグゼンプト社員(日本でいう「ホワイトカラー・エグゼンプション」。管理職や専門職)の中には、日本人の目から見てもびっくりするぐらい残業や休日出勤もモーレツにやる人もいます。但し日本と違うのは、自分の意思でやっている人が大半で、付き合い残業や惰性でやっている人は少ないと思います。もっとも、彼らは「任された仕事をやり遂げる」というプロフェッショナル意識からやっている場合もありますが、結果で評価されることからのプレッシャーでやっている場合もあります。後者の場合はストレスになり、退職することになる人もいます。但し、いずれの場合も、基本的には自己責任で働き方を選択しているという感じがします。
日本では、働き方改革ということが、過労死等に繋がる職場環境の改善という観点と、生産性向上という観点から議論されていますが、どうも一律的な制度対応ということに流れすぎているような気がします。「9時~5時勤務」も「モーレツ社員」も各人の価値観次第で並立するような多様性を許容するということがないと、なかなかバランスの取れた解決は難しいのではないかと感じます。
海外で事業をする場合でも、従業員のモチベーション維持・向上と組織の効率的運営のバランスをどうするかということは大変悩ましい課題です。休暇や残業の取扱いはそのうちの一つの例ですが、仕事に対する意識は国毎に違うということだけではなく、個々人によっても違うということは念頭に置いておく必要があると思います。