シカゴの展示会に行ってきました。

International Home + Housewares Showという生活用品・日用品を扱う全米最大規模の展示会です。約2,200の企業が出展し、56,000人ほどの参加者が集まる展示会で、クライアント様がこの展示会に出展されることから、その支援をするため出張しました。

このクライアント様はこの展示会に出展するのは初めてだったので、展示会主催者が作成した「New Exhibitor(新規出展社)」というプレートをブースに掲げましたが、その他の出展社の中には「Made in USA」というプレートを付けているところも120社近くありました。アメリカの店舗でも、最近この「Made in USA」というのをわざわざ明示した商品が目につくようになりました。

トランプ政権が「America First」を掲げて様々な施策を打ち出している最中ですので、この「Made in USA」の表示もその影響かとも思いましたが、どうも必ずしもそればかりではないようです。実はトランプ政権の前のオバマ政権のときに成立した景気浮揚対策法の中には、「Buy American」条項という公共事業についてアメリカ製品の購入を義務付けるものがありました。

またこうした政策は別として、アメリカの消費者の意識として「Made in USA」を改めてブランドとして見直そうという動きが数年前からあるようです。背景としては、アメリカ市場で急拡大してきた中国製品について、その品質や安全性に様々な疑問が呈されてきたことから、多少価格が高くても安心感のあるアメリカ製品を求める消費者が増えてきたということがありそうです。価格についても、人件費の高騰等から中国製品の圧倒的優位性が少しずつ修正されてきているということもあるのかもしれません(今回トランプ大統領が、主として中国をターゲットとした制裁的な関税引き上げを発表しましたが、これが今後どういう影響を及ぼすかはまだわかりませんが)。

アメリカの消費者が愛国心で消費行動を変えるということは、一部の人を除いてはまずあまりないと思います。消費行動が少し変わってきているとすると、それは安さ一辺倒から品質・安全性を重視する価値観への変化ということが影響していると思われます。

そういう意味では、今後「Made in USA」が増えていったとしても、日本企業にとってのアメリカ市場への参入余地が縮小するということでは必ずしもなく、品質・安全性やその他の付加価値での優位性を示し差別化が図られれば、従来同様チャンスは十分あると考えるべきだと思います。

「Made in USA」の復権ということがあるとはいえ、中国製品の力強さは相変わらずです。今回の展示会には、カテゴリーのひとつとしてInternational Sourcing Expoというワンフロアーを使ったエリアがありましたが、「インターナショナル」とはいうものの、全て中国と台湾の会社ばかり500社ほどが出展していました。この活力はさすがです。