先週アメリカの西海岸に出張してきました。

クライアント様と一緒に数日間、現地のパートナー企業と生産・物流・販売・アフターサービスの方針と体制の議論をし、また商談もしました。話をした人達は、アメリカ人・日本人の他、台湾人・カナダ人・インド人といった様々な国の人達で、改めてアメリカの多様性を感じました。

アメリカでのビジネスミーティングのときにいつも「日本とちょっと違う」と感じるのが、会って握手をしたら、ほとんど前置き無くすぐにビジネスの話になるということです。

日本では、名刺交換の後に時候、景気、経済トピックなどの他愛もない話を暫くして和やかな雰囲気を作ってから、おもむろに「ところで」という感じで本来のビジネスの話が始まるのが一般的かと思います。

もちろんアメリカでも、そういう話題は「Ice Break」として多少することはありますが、ミーティングの最初にするというよりは、本題についての話が一通り終わってから、よもやま話を少しして笑顔で別れの握手、というようなパターンが多いように思います。

今回商談した際も、握手してすぐに「さて、今日はどんな新しい話を持ってきてくれたんですか」というところから始まりました。そして最後に、自分が日本に休暇で遊びに行ったときの話やカリフォルニアの今年の雨の量などの話をして、和やかに終わりました。

日本では、「表敬訪問」というとりあえず挨拶だけというミーティングもありますが、アメリカの場合は、目的が明確でないミーティングは通常はやりたがらないものです。お互いに貴重な時間を使うので、合理的な意味のあるミーティングでないと時間の浪費と考えます。

日本企業がアメリカで販路を開拓するために面談のアポイントを取っても、「表敬訪問」で終わってしまうケースがよくあります。バイヤーには、限られた時間を使って、いかに効率的・効果的に売れるものを探し出すかが求められます。バイヤーのところには無数の売り込みがあるため、意味のないミーティングは極力避けたいはずです。いきおい商談はお互いにとって真剣勝負になります。

今回の出張のフライトで「The Founder」(邦題「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」)という映画を見ました。マクドナルドの創業者の実話をもとにした映画ですが、元祖マクドナルド・ハンバーガーを始めたマクドナルド兄弟とフランチャイズ方式を提案する主人公との商談の場面があります。ここでも、いきなり本題の「フランチャイズ」を連呼する主人公の姿がありました。

もちろんビジネスミーティングも人と人とのコミュニケーションの場ですので、潤滑剤や息抜きとなる話題やユーモアは必要です。但し国によってビジネスマナーが違うのも確かですので、事業の海外展開を進める際には、こういう知識も持った上で対応することが重要だと思います。